研究課題
大量のエージェントを分散的に制御する超分散制御の理論的な確立に取り組み,確率的な外乱のもとですべてのエージェントが合意を形成するための新しい分散制御手法を提案した.外乱のもとでは,適応的な分散制御則が有効であることを理論的に示し,その収束条件を導いた.これまで知られていた収束条件を含む,より保守性の低い条件が得られた.また,マルチエージェントシステムのコンピュータシミュレーションで提案法の有効性を実証した.また,各エージェントの分散制御則において,燃料および電力の消費を抑え,さらにCO2や騒音などの発生を抑制するために,動的スパースモデリングの手法を導入した.動的スパースモデリングを導入することにより,制御に必要なければ積極的にアクチュエータ(例えばドローンであればブレードの回転)を止めるという制御が可能となることを示し,合意形成のための十分条件を導いた.計算機シミュレーションによりその有効性を実証し,ドローンに実装する実験を行った.さらに,超分散制御の応用として,伝染病の拡散抑制問題を考え,そのモデル化と制御法に関する研究を行った.従来法では,伝染病の拡散ネットワーク(人間の接触ネットワーク)は時間的に変動しないという仮定のもとでの拡散抑制が考えられていた.しかし,現実には人間の接触は時々刻々変化する.この問題に対して,スイッチングネットワークの枠組みを導入して解決した.本研究で提案したマルチエージェントシステムの超分散制御の理論は,近年の重要な研究課題であるIoT (Internet of Things) や Cyber-physical systems (CPS) の基礎理論であり,今後はこれらへの応用を見据えた理論の社会実装が極めて重要になる.そのための重要な理論的枠組みを本研究で与えることができた.本研究で得られた成果を今後さらに発展させ,超スマート社会(ソサイエティ5.0)の実現に貢献していく予定である.
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