フレッシュ時の担持アルカリの保持性に関する検討では,アルカリ担持させた廃瓦粗骨材について,混練後のフレッシュコンクリートからの回収方法を種々検討したが,再現性のある測定結果を得ることができなかった.コンクリートを用いた実験では,圧縮強度ならびにヤング率の測定を行った.水結合材比は0.30とし,セメントには普通ポルトランドセメントならびに早強ポルトランドセメントを使用し,フライアッシュの置換率を0%,40%,アルカリ担持を行う廃瓦粗骨材の置換率を容積比で0%,40%とした.担持アルカリ溶液には0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液ならびに飽和水酸化カルシウム溶液を使用し,比較用として水を使用した.材齢1年までの測定結果では,アルカリ担持による圧縮強度,ヤング率の増進は認められず,普通ポルトランドセメントを用いた実験では,比較用として用いた水の場合の圧縮強度,ヤング率が,材齢7日から1年までを通じてアルカリ担持を行った場合を上回る結果となり,アルカリ刺激の効果よりも内部養生の効果が顕著に表れる結果となった.一方,硬化セメントペースト内に,あらかじめ挿入したシリンジを通じてアルカリ溶液を供給する実験では,選択溶解法を用いたフライアッシュの反応率に関する実験を行い,アルカリ溶液または水の供給により,フライアッシュの反応率が増加することが確認された.これらのことから,担持したアルカリの刺激によりフライアッシュの反応を活性化するものの,強度増進をもたらすほどの活性化とはなっていないことが推察された.
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