研究課題/領域番号 |
15K14023
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
大津 政康 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (80109016)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アコースティックエミッション / コンクリート構造 / 破壊予知 |
研究実績の概要 |
1.過去の破壊実験でのAE計測結果のパラメータ解析結果の検証:これまでに実施した多くの実験データを検証に適用した。特に,コンクリート供試体の割裂試験の結果に着目し,最終破壊に向けて,平均周波数(A-FRQ)の低下とRA値の上昇を確認した。この遷移点が定量化できれば,研究課題として確定論的な破壊予知が可能と考えるに至った。 2.SiGMA解析データの検証によるパラメータ解析との比較による破壊予知の検討:SiGMA解析結果とパラメータ解析によるクラック分類に関しては,コンクリートの割裂破壊で既報において発表し,SiGMA解析での混合モードを引張クラックに分類すれば,割裂試験では差異はないことが判明している。しかし,異なる破壊形式についての検討は行われておらず,材料の異なる場合も含めて検証が必要である。そこで,せん断すべり面の実験を実施したが,SiGMA解析可能なデータを取得することができなかったため,次年度への再検討項目となった。 3.既設構造物での破壊予知への適用性のフィールド調査:既設のプレストレストコンクリート橋梁でAE計測を2ヶ月間に3度に渡り定点観測し,その結果損傷度の評価に本手法が有効であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.過去の破壊実験でのAE計測結果のパラメータ解析結果の検証を行って,最終破壊に向けて,平均周波数(A-FRQ)の低下とRA値の上昇を確認した。 2.SiGMA解析データの検証によるパラメータ解析との比較による破壊予知の検討として,せん断すべり面の実験を実施したが,SiGMA解析可能なデータを取得することができなかったため,次年度への再検討項目となった。 3.当初の計画にはなかった既設構造物での破壊予知への適用性のフィールド調査を行うことができ,プレストレストコンクリート橋梁でAE計測を2ヶ月間に3度に渡り定点観測し,その結果損傷度の評価に本手法が有効であることが示された。
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今後の研究の推進方策 |
1.材料特性と破壊形式の差異に関する破壊予知の検討 新たに実施する予定のせん断実験も含めて,パラメータ解析をも考慮した破壊予知の可能性を,材料特性と破壊機構による破壊予知可能性への影響を解明する。 2.時間依存性破壊における提案手法の有効性の検証 パラメータ解析による破壊機構の遷移とSiGMA解析による空間的なクラックの分布と破壊面の形成過程が確認できた後に予知として必要となるのは,主破壊(最終破壊)の時期である。これには,時間依存の破壊過程での観測が,実証的には一番容易であると考えられることから,既存構造物の実地データに基づいて,破壊予知および疲労度評価の可能性を検討する。 2年間のフィージビリッティスタディの研究成果を総括し,確定論的な破壊予知法の確立のために残された研究内容と,実務的な手法とするために必要な実験・解析などを整理し,次のステップとしての研究プロジェクトの提案を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画のとおり,次年度も研究を継続するため証文品費,旅費,人件費その他を使用予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品費 200千円 旅費 640千円 人件費・謝金 400千円 その他 300千円
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