強風災害の被害を拡大させる要因である飛来物の飛翔挙動および衝突時の衝撃力を評価するために,数値流体解析法の開発と解析法を検証するための風洞実験を実施した。 最終年度である平成29年度は,昨年度まで2年間にわたって推進してきた風洞実験法を改良することを目的として研究を進めた。具体的には,(E1) ロードセルで4点支持したアルミ板に試験体を落としたとき,試験体の落下位置の推定について昨年度まではアルミ板の中央線上の位置を推定することにとどまっていたところを,アルミ板全面の任意の落下位置を推定できるようにした。(E2) 気流内で試験体を支持する方法を改良し,放出時の試験体条件の安定度を向上させた。その上で,昨年度 3Dプリンタで製作した球形模型に加えて新たに中空立方体模型を3Dプリンタで製作し,これらの模型を風洞内で風によって飛ばし,アルミ板の上に落下させる実験を行い,衝撃力の測定,高速度ビデオカメラによる飛翔挙動の撮影を行った。前述した風洞実験方法の改良の効果が確認でき,基本的物体の気流内での飛翔挙動と地表面に落下衝突したときの衝撃力についてユニークなデータを獲得することに成功した。 数値流体解析法の開発に関して,これまで推進してきた解析方法について次の2項目の改良を行った。(N1) 気流内を飛翔する飛来物と周辺気流の移動メッシュによる連成解析法について解析法の一部の修正を行い,長距離を飛翔する状況を実現した。(N2) 地表面落下衝突時の解析過程を改良し,これまで水平面に対する衝突だけしか扱えなかったものを,任意に傾斜した面に対する衝突も扱えるようにした
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