研究課題/領域番号 |
15K14028
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
菊本 統 横浜国立大学, 都市イノベーション研究院, 准教授 (90508342)
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研究分担者 |
棚橋 秀行 大同大学, 工学部, 教授 (00283234)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | NAPL / 浸透解析 / 変形解析 / 連成解析 / 有限要素法 / 土壌汚染 / 地盤浄化 / 多相流体 |
研究実績の概要 |
石油や揮発性有機化合物など非水溶性液体(Non Aqueous Phase Liquid)は水や空気と混ざらず独立して浸透して土壌・地下水汚染を引き起こす。これをシミュレートする水‐NAPL‐空気3相浸透解析の開発が最近,進みつつあるが,本研究では解析技術のさらなる発展に挑戦する。 本研究で開発を試みる手法の一つは,土骨格の変形と水‐NAPL‐空気3相の浸透を連成した新しい解析技術である。間隙流体の排出や流入を伴う揚水やガス吸引,注入,エアスパージング等の原位置浄化法には,地盤沈下や隆起の懸念もあるため,本解析技術は実用の観点からのニーズも高い。 このような解析技術を開発するため,水-NAPL-空気の多相流体の地盤中の浸透現象について,圧力-飽和度モデルを再定式化するとともに,それを組み込んだ多相浸透解析コードを開発し,試計算および研究分担者が実施した検証実験との比較により解析技術の適用性を確認した。これにより,LNAPLおよびDNAPLの飽和地盤,乾燥地盤,水・空気2相の不飽和地盤への浸透現象を安定的にシミュレートできるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は水-NAPL-空気の多相流体の地盤中の浸透現象について,圧力-飽和度モデルをより一般的な形で解釈して再定式化するとともに,それを組み込んだ多相浸透解析コードを開発し,モデル実験との比較や数値パラメトリックスタディにより解析技術の適用性を検証した。一連の検討により,NAPLの密度(LNAPLとDNAPLの違い)によらず,地盤への多相浸透現象を安定的にシミュレートできる数値解析コードが完成し,土-水-NAPL-空気の4相系の変形と浸透の連成解析技術を開発するための素地が整った。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に検証・改良を行った水-NAPL-空気3相の浸透解析技術をさらに拡張して,土骨格の変形と水‐NAPL‐空気3相の浸透の連成解析技術の開発を目指す。この技術は,揚水やガス吸引,注入等の原位置浄化法による地盤沈下・隆起を評価するための新たな解析技術であり,確立されれば地盤沈下の影響を抑えつつ,浄化効率の高い浄化法を解析的に選定することが可能になる。 この目的の達成のために,土-水-NAPL-空気4相混合体の有効応力を考案・提案するとともに,連成現象の支配方程式(釣合式,質量保存式,土骨格の応力‐ひずみ関係,ダルシー則,水‐NAPL‐空気3相系の圧力‐飽和度‐比透過係数関係)を導く。また,支配方程式の弱形式を求め,有限要素法により空間離散化,後退差分法により時間離散化して数値解析コードを開発し,注入・揚水浄化の試計算により性能を確認する。開発した解析コードは,NAPL汚染地盤に注入井,揚水井を設けた浄化問題のシミュレーションに用いることで妥当性を検証する。井戸の位置や時間当たりの注入量,揚水量についてパラメトリックスタディを行い,解析的に地盤沈下・隆起の抑制と浄化効率の観点で合理的な浄化法を求める。
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