研究課題
本研究では,従来,速度・状態依存摩擦のみに着目してきた断層すべりについて,堆積岩を用いた三軸せん断(S)-保持(H)-せん断(S)試験により岩石摩擦(岩石内のせん断帯の形成とその摩擦挙動)-ダイレーション-間隙水圧(有効応力)のインタラクションの帰結として断層すべりの再検討・再評価を行うことを目的とした.また,せん断-保持-せん断過程で発現する強度回復・劣化現象を限界状態モデルの拡張で再現することを目指して研究を実施した.研究は,SHS型三軸せん断試験と数値解析によって実施した.昨年度は凝灰岩を用いた実験を行ったが,本年度は,ベレア砂岩に対して種々の条件下で非排水三軸せん断試験を行い,残留状態においてせん断-保持-せん断によるせん断を行った.実験では,人工的な切断面の無い供試体と人工的な切断面(60°)を有する供試体を用いて行った.Intactなベレア砂岩供試体を用いた実験は,温度条件が20°C,拘束圧条件が1.0 MPa,1.5 MPa,2.0 MPaおよび3.0 MPaの4種類で行い,拘束圧条件が3.0 MPa の実験のみ,温度条件が60°C の条件下でも行い,合計5ケース実施した.人工的な切断面を有するベレア砂岩供試体を用いた実験は,温度条件が20°Cで,拘束圧条件が1.0 MPa,3.0 MPaおよび5.0 MPa の3種類で行い,3.0 MPa の実験のみ温度条件が60°C の条件下でも行い,合計4 ケース実施した.ベレア砂岩の実験では,Intactな供試体では,破壊自身が脆性的なものとなり明瞭なせん断面が表れず,強度回復現象が確認できなかった.一方,人工的な切断面を有する供試体を用いて行った実験では,強度回復現象が確認された.
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Computers and Geotechnics
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