地盤構造物の設計等で用いられる地盤の力学パラメータを知るために,一般的に室内要素試験(例えば,三軸圧縮試験,圧密試験,透水試験等)が実施されるが,圧縮試験等のような破壊試験を伴うために,複数の供試体が必要となる.この場合,使用する土試料,供試体作製方法(原位置サンプルの場合には,そのサンプリング方法)および供試体の間隙比が同じ供試体であれば,それらを等価な供試体として取り扱ってきた.しかし,このような巨視的に等価な供試体でも,それを構成する粒子の形状や配列がそれぞれ異なるため,微視的には異なる構造を持っている.その結果,巨視的には等価な供試体を用いて試験を実施しても,微視的な構造の違いに起因するばらつきが試験結果には常に内包されている.そして,そのばらつきが本来知りたい試験条件(例えば,拘束圧,異方性,飽和度等)の影響を不明瞭なものにしていると考えられるが,微視構造の影響を評価する方法は,現在までのところない. 本研究では,微視構造の影響を評価する手法として,X線CTスキャンにより得られた礫の三軸供試体の3次元画像を画像処理した後,3Dプリンターを用いて,粒子の形状および配列の等しい供試体(以下,復元供試体という)の作製を試みた.その後,複数の復元供試体について三軸圧縮試験を実施し,力学特性を調べた.復元供試体と元の礫供試体の力学挙動との比較から、本手法による力学的な再現性について検証した.また,復元供試体を対象としたX線CT画像データについて粒子解析を行い,幾何学的な再現性を併せて検証した.
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