研究課題
本研究は、「低空から自動で波長分解能のよいデータを取得できる、自立飛行UAVに分光放射計を搭載することにより、閉鎖性水域の非接触塩分測定システムを開発すること」が目的である。この目的を達成するために、1年目から閉鎖性水域である鳥取県の東郷池の河口部において,調査船による分光反射率・水質データセットの取得を行ってきた。1年目のデータセットは、3時期のみであったが、2年目の2016年度には、ほぼ1か月おき、さらに9時期の現地データセットが得られた。なお,UAVに分光計を搭載して分光反射率を測定する実験は1年目の9月に終えている.これらのデータセットを使って、安定的な非接触塩分推定のための解析を行った。非接触による塩分推定には、通常CDOM(Color Dissolved Organic Matter、有色懸濁有機物)を介した方法が使われる。すなわち、CDOMと塩分は負の相関にあるという関係を利用する。従って、非接触で塩分を推定しようとする場合、CDOMを精度よく推定することが第一歩である。そこで筆者らは取得した9時期のデータセットうち、まず5時期の反射率/CDOMデータを使って,東郷池における反射率比(波長1nmごとの全通りの組み合わせ)とCDOMの関係を調べた.その結果,最適な反射率比は678nm(赤)と409nm(青)(相関係数0.97、最小二乗誤差0.12m-1)であり,既往の研究結果とよく一致していた.また、これらの2波長反射率比とChl-a(クロロフィルa濃度)やSS(懸濁物質量)の間には、高い相関は認められなかった。なお、現在、得られた全データセットを使って、閉鎖性水域の非接触塩分測定システムを開発するための論文を執筆中である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件) 産業財産権 (1件)
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