研究課題
定量的事実に基づく土木計画を遂行する上で,地域間の取引に関するデータは非常に重要である.わが国には,商品流通調査による地域間産業連関表,全国貨物純流動調査(物流センサス),貨物・旅客地域流動調査などが行政による統計として存在する.一方で民間信用調査会社による企業間取引データ(企業ビッグデータ)の整備が進み,学術レベルで利用可能となっている.本来,地域間取引に関するこれらのデータは同じものを違う角度から計測しているに過ぎず,あるデータから別のデータを推計するとこも可能なはずである.本研究は,これら4 種類の計測手法が異なるデータの整合性・補完性を確認し,それらを統合化することを目的としている.ここでの統合化とは,例えば,企業ビックデータから地域間産業連関表,全国貨物流動調査および貨物・旅客地域流動調査を推計する手法を提案することを意味している.そのため,まず,それぞれのデータを同一の空間スケールで集計し比較を行うことで各データの特徴を明確にした.そのうえで,それぞれのデータ特性をモデルで表現し,相互補完可能なモデルを構築し,日本をはじめ欧州のデータを用いて実証分析を実施した.その結果,地域間産業連関表,全国貨物準流動調査,企業間取引データの相互補完性に関して,その限界と可能性を明確にすることができた.また,これらのデータ整備が,日本と比較して十分ではない,欧州での適用可能性についても議論を進めることが可能となった.これらの研究成果は国内の学会をはじめWCTRなどで公表し,交易データの新たなアプローチとして認識されるに至った.
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
土木学会論文集D3 (土木計画学)
巻: Vol.72, No.5 ページ: I_533-I_545
10.2208/jscejipm.72.I_201