研究課題/領域番号 |
15K14049
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
中川 善典 高知工科大学, 経営学部, 准教授 (90401140)
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研究分担者 |
上田 博唯 京都産業大学, コンピュータ理工学部, 教授 (50447900)
朴 啓彰 高知工科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60333514)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ドライブシミュレーター / 会話ロボット / 同乗者効果 |
研究実績の概要 |
本研究は、ドライブシミュレーターを用いて、運転者のそばに居る会話ロボットが運転者の運転に影響を与えることがあるのか否かを明らかにすることを目的としている。具体的には、ロボットが危険状況の予測を一切せず、事後的な評価のみを運転者に与え、運転者に「見られている」という印象を与えることが、運転者に実際に影響を与えるかを特定することを目指している。 初年度のH27年は、約60人に対して実験を行ったが、このような効果は見出されなかった。その理由は、運転時間が約5分と、非常に短時間の実験デザインを採用していたため、ロボットが居ようが居まいが、被験者は注意力を維持することが可能であったためであると解釈された。 そこで、所要時間が約15分の運転コースを設計しなおし、二回目の実験を準備するところまでを平成27年度に行った。これによって、運転後半部分においては注意力を維持することが困難になり、会話ロボットみ見られているという意識の有無が運転パフォーマンスに影響を与えることが期待される。 また、運転のパフォーマンスを測定する方法としては、H27年度においては、危険事象(歩行者の飛び出し等)を上手く回避できたか等を採用していた。これに対して、H28年度に行う実験では、運転中に感じる孤独感や安心感や楽しさなど、心理的な効果も合わせて測定することを計画している。これによって、会話ロボットの存在が生じさせる影響をより網羅的に把握しようと考えている。H27年度は、そのための心理学的な尺度の作成も行った。これは、30項目からなる尺度である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に示した通り、H27年度の実験によっては、会話型ロボットの存在が運転者の運転結果に与える影響を、統計学的に有意な形で特定することには失敗した。しかしながら、その失敗の原因は特定しており、それを踏まえた本実験の準備はほぼ整っている。この実験はH28年度中に行うことは可能であると考えており、その意味ではおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」で示した通り、H28年度はH27年度の実験の失敗を踏まえて、新たな実験を実施する。修正ポイントは、第一に、被験者一人当たりの走行時間を約3倍に増加させ、注意力が散漫になる状況を作った上で、会話型ロボットの存在が与える影響を観測する。また、運転中に感じる孤独感や安心感や楽しさなど、心理的な効果も合わせて測定することを計画し、そのための心理尺度はすでに作成した。これは、万が一、危険場面の回避の成功/失敗といった指標によっては会話型ロボットの影響が観察されなかった場合のバックアップとして位置づけられる。しかしながら、この尺度開発は、同乗者に準ずる非人間的なシステムの開発は、本研究のみならず世界中で多く行われており、そうしたシステムを評価する上での基本的なツールとなる可能性がある。すなわち、これ単体でも一つの研究成果と見なされるだけの価値を備えたものとなる可能性がある。
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