東日本大震災被災地の高台移転事業は、その多くは震災以前から過疎化していた地域であり、集落の継続性には大きな疑問がある。本研究はこの政策の提案から決定までの経過を追跡し、背景と原因を分析した。主たる結論は以下の通り。①復興構想会議は「復興への提言」を提案した。しかし実態は御厨、飯尾両教授と霞ヶ関の官僚達が書いたシナリオだった。②建築基準法と防災集団移転促進法の広汎な適用により、膨大な数の計画立案、移転地の取得業務が生じ、十分な検討のない事業が進行した。③復興交付税により市町負担はなくなり、モラルハザードに陥ち入った。④マスコミや世論の事業遅れ非難の合唱が市町を追詰め容易な山地の候補地に向かった。
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