本研究では,河川における溶存態亜酸化窒素(N2O)濃度,硝酸性窒素に対するN2O転換率,底質におけるN2O生成ポテンシャルを明らかにした。長期的には,溶存態N2O濃度は初夏に高くなる傾向にあった。一方で,通日変動の傾向は調査の時期によって異なった。硝酸性窒素のδ18Nおよびδ15Nの傾向より,外部より窒素負荷が流入した場合にN2O濃度が上昇することが示された。なお,底質の細菌叢とN2O濃度の関連性は明らかではなかった。また底質のN2O生成ポテンシャルは,アンモニア性窒素が流入する河川においては,河川底質の硝化にともなうN2O生成ポテンシャルが高いことが示された。
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