粘土鉱物の層状構造変化に着目して,コンクリートの大部分を構成する骨材(岩石)の乾燥収縮メカニズムの解明にチャレンジし,骨材(岩石)の乾燥収縮の制御による低収縮コンクリートの実用化のために,粘土鉱物の層状構造変化による乾燥収縮メカニズムに基づく骨材の低収縮化へのアプローチを検討した。 今年度は,アルカリ骨材反応(ASR)に伴う膨張メカニズムの解明を目的に、断面観察を中心に基礎的実験を進めた。 アルカリラッピングを施し,アルカリ骨材反応(ASR)促進反応試験を行ったコンクリートプリズムの膨張率は,ゲルフルオレッセンス法をもとに簡易的に定量した反応性骨材中に生成されたアルカリシリカゲル(ASG)量と相関があることが実験的に確認された。 アルカリラッピングを施し,異なる温度におけるアルカリ骨材反応(ASR)促進反応試験中にコンクリートプリズムの膨張率の経時変化と切断面に現れるアルカリシリカゲルの経時変化を取得した結果、反応性骨材内に生じたアルカリシリカゲル(ASG)は、骨材単独で拘束されることはなく、周囲の緻密なセメントペーストマトリクスの存在によってはじめて骨材内に拘束されていることが考えられた。また,蛍光観察の結果、角柱試験体にみられた膨張挙動の温度依存性は、アルカリシリカゲル(ASG)の生成およびアルカリシリカゲル(ASG)の拡散の温度依存性によるアルカリシリカゲル(ASG)の拘束/滲出挙動の変化に起因していることが推察された。
|