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2015 年度 実施状況報告書

浮き上がり機構を持つ超高層免震建物の実挙動解明とそれを考慮した設計法の構築

研究課題

研究課題/領域番号 15K14063
研究機関東京工業大学

研究代表者

笠井 和彦  東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (10293060)

研究分担者 佐藤 大樹  東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 准教授 (40447561)
松田 和浩  東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教 (80567397)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード免震構造 / 超高層建物 / 浮き上がり / 地震応答解析 / 強震観測
研究実績の概要

普及が急速に進んでいる超高層免震建物では、その構造を成立させるために浮き上がり機構が採用されることがあるが、浮き上がり後の上部構造の挙動は、構造設計時に的確に考慮されていないことが多い。通常の免震構造のように浮き上がりを考慮しないせん断棒モデルの時刻歴応答解析と、その結果を用いた各部の静的解析を行うだけでは大きな誤差が生じると考えられる。しかし、浮き上がり後は上部構造が長周期化するため、免震層が持つ固有周期に近づくこととなり、適切な免震効果が得られない可能性がある。浮き上がり機構を免震構造の適用拡大のためのツールの一つとして位置づけるためには、既往の実務的な時刻歴応答解析モデル化や、免震周期・減衰および上部構造周期など動的特性に基づく応答評価法に、浮き上がりの影響を的確に加味する必要がある。
そこで、1年目では浮き上がり挙動を正確に把握するために、東北地方太平洋沖地震で強震観測に成功した東京工業大学の超高層免震建物(J2棟)を対象とし、その観測記録を詳細に分析した。それにより、構造設計時の予測と実際の挙動が概ね一致していることや、浮き上がり前の動的特性の変動などを把握した。また、その観測された挙動をほぼ正確に再現できるフレームモデルを構築した。特に、U型鋼材ダンパー・オイルダンパーの履歴モデルを作成し、観測データとの比較を通して、解析精度を向上させた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題1年目として、十分な成果が得られたため、自己点検による評価では「(2)概ね順調に進展している」を選択した。以下にその理由について述べる。
東北地方太平洋沖地震における東京工業大学の超高層免震建物の観測記録を詳細に分析し、超高層免震建物の地震時の実挙動を詳細に把握することができた。その成果は国際シンポジウムInternational Association for Bridge and Structural Engineering (IABSE 2015)で発表されている。また、次の研究ステージである詳細なフレーム解析モデルの構築についてはほぼ終わっており、そのモデルを用いた様々な検討結果と合わせ、その成果はEarthquake Spectraに投稿するべく準備中である。この状況は、これは計画時に想定したペースとほぼ同等である。よって、概ね順調に進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

本研究課題の今後の推進方策を以下にまとめる。
①立体フレームモデルによる浮き上がり発生後の挙動解明
作成した詳細のフレームモデルに直下型地震動や長周期地振動などの様々な地震動を入力し、最大加速度や最大変位、上部構造および建物全体としての周期・減衰の変動、各部材の応力などについて整理し、浮き上がり後の挙動を詳細に把握する。外柱積層ゴム浮き上がり後における、内側積層ゴムの軸力変動、部材断面や構面の耐力負担率を変更し、異なる構造条件に対しても同様に考察する。
②浮き上がりを考慮した非線形せん断モデルの提案
立体フレーム解析の結果を非線形せん断モデルで極力正確に再現し、せん断系へのモデル化の手法を提案する。立体フレームモデルとの比較を通して、提案モデルの適用性と精度を明らかにする。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Dynamic Responses of High-Rise Base-Isolated Building during the 2011 Great East Japan Earthquake2015

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiro MATSUDA, Kazuhiko KASAI
    • 学会等名
      International Association for Bridge and Structural Engineering (IABSE 2015)
    • 発表場所
      Nara, Japan
    • 年月日
      2015-05-13 – 2015-05-15
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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