前年度に3種の岩石を仮焼きした後に微粉砕し、それぞれの微粉末と高炉スラグ微粉末(BFS)を併用してジオポリマーセメント(GC)を作製した。GCの硬化体の成分分析の結果によって、いずれの岩石の仮焼き微粉末もジオポリマーの硬化反応にほとんど参加しないことが明らかになった。このため、省エネルギーの観点から今年度にGCに使われる石粉を再検討して、砕石工場に排出される廃棄物である2種類の砕石粉(石灰石砕石粉と珪酸質砕石粉)を用いた。砕石粉の種類、BFSの級と混合率、アルカリ溶液の種類、硬化体の養生温度がGCペーストとGCモルタルの可使時間、圧縮強度、曲げ強度および耐酸性に与える影響を考察した。 GCの圧縮強さを40MPa程度と60MPa程度に達させるため、JIS4000級BFSの最適混合率はそれぞれ25%と35%(石灰石砕石粉の場合)、30%と40%((珪酸質砕石粉の場合)であることがわかった。これらの最適混合率でBFSを使用すると、GCペーストとモルタルの可使時間は約90分である。また、GCモルタルの曲げ強度は高く、圧縮強度の1/5~1/6である。なお、GCペースト硬化体は優れた耐酸性を有し、5%の硫酸溶液における2ヶ月浸漬後に質量減少率は2~3%であった。XRD分析によって、石灰石砕石粉はGCの硬化反応に貢献するが、珪酸質砕石粉が関与しないことがわかった。 粉体の60%を珪酸質砕石粉としたジオポリマーコンクリートの圧縮強度、中性化抵抗性および耐凍害性を考察した。常温養生の圧縮強度は41.4MPaであった。耐凍害性が高いが、中性化深さは同強度のポルトランドセメントコンクリートより大きかった。これらの結果に基づいて、BFSの級と混合率、アルカリ溶液の構成、液粉体比などについて最適値を明らかにした上、砕石粉GCを用いた普通強度ジオポリマーコンクリートの調合を提案した。
|