研究課題/領域番号 |
15K14068
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
兼松 学 東京理科大学, 理工学部, 准教授 (00312976)
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研究分担者 |
BAE SUNGCHUL 東京理科大学, 理工学部, 助教 (30751630) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 酸化チタン / 光触媒 / セメント硬化体 / 水和促進効果 |
研究実績の概要 |
光により励起された酸化チタンにより生成されたヒドロキシル・ラジカル(・OH-)は、セメント鉱物の水和反応過程で生じるCa 陽イオンと反応し、水酸化カルシウム生成速度や水和反応に大きな影響を与える可能性がある。しかしながらその効果やメカニズムについてはまだ検討されてない。 そこで本研究では、セメント鉱物のC3S を用いて、酸化チタンの光触媒効果がセメント硬化体およびモルタルの初期及び長期材齢に及ぼす影響について定量的に実証することを目的とする。さらには、光触媒酸化チタンによる水酸化カルシウム生成促進効果がフライアッシュのポゾラン反応に与える影響について定量的に検証し、光触媒効果によるポゾラン反応のコントロール技術の開発を試みた。 そこで本年度は、活性化TiO2 、非活性化TiO2を添加したモルタル、OPCをFAで置換したモルタルを製作し、圧縮強度特性を評価した。その結果、普通ポルトランドセメントを用いた試験体では、励起したTiO2により生成される・OHが、セメント鉱物であるC3S、C2S、C3A、C4AFの溶出及び水和反応を促進し、最終的に強度発現に寄与することが推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、(1)工学物性試験(2)XRD 回折法による水和生成物の分析(3)熱分析による水酸化カルシウムの定量化について完了しており、酸化チタンを混入したセメント硬化体の水和促進機能・強度増進機能を再現実験を含めて確認することが出来ている。 また、フライアッシュを加えた系についても既に検証を開始しており、一定の成果を得ており、平成28年度の実施に向けた準備も着実に進めているため。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、当初の計画通り(1)微細構造の可視化、(2)酸化チタンの光触媒生成で形成される水酸化カルシウムの化学構造の評価、(3)メカニズムの解明及び実用化するための方法の提案を行う。特に、(2)、(3)については、酸化チタンの水和生成物および微視的構造への影響について、より詳細な分析を行う。また、コンクリートレベルへの適用を試み、実用化に向けた基礎的知見の蓄積を加速する。
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次年度使用額が生じた理由 |
恒温恒湿槽を購入予定であったが、既存設備での対応が可能となり、代わりにより重点的なXRD分析が必要不可欠と判断し卓上型X線回析装置の購入を行った。ほぼ同額の変更となったが、結果として委託費として計上していたその他経費が不要となったことから差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
XRD分析に必要な消耗品、メンテナンス費に充てる予定である。
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