研究課題/領域番号 |
15K14070
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研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
山田 耕司 豊田工業高等専門学校, 建築学科, 教授 (60273281)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 石場建て / 滑動 / 質量比 / 地震動評価 |
研究実績の概要 |
本年度は,強震時における建物上部構造の滑動量把握を目的として,建物上部質量と建物下部質量の異なる試験体を用いて,最大滑動量の変化を検討した.加えて,前年度より摩擦係数が小さい場合の最大滑動量を検討した.建物2階以上と1階との質量比は,重い屋根平屋:150:140≒1:1,重い屋根2F建:320:140≒2.3:1,葺土桟瓦平屋:370:140≒2.6:1,土無桟瓦2F建:380:140≒2.7:1となる.そこで建物試験体では集成材板,アルミ材などで作成し,1階質量を鉄板で調整した.この結果,建物2階以上と1階との質量比を,11.5:4.5=2.6:1,11.5:6.1=2:1,11.5:11.2=1:1,としている.試験体の復元力として,コイルばねを配置した.コイルばね本数により固有振動数を4本で3.4Hz(h=0.02),8本で3.9Hz(h=0.04),12本で4.7Hz(h=0.04)と変化させた.礎石は,300×600mm角のみがき御影石(静止摩擦係数は0.52),300×600mm角の切断面そのままの御影石(静止摩擦係数は0.71)を用いた.摩擦係数の低い事例として,試験体の礎石接触面にドライカーボン板(平織り)を貼付し磨き面で加振した事例(静止摩擦係数は0.27)も行っている. その結果,建物上部質量と建物下部質量の異なる試験体間では,一方の最大滑動量から他方の最大滑動量を予測しえないことが分かった.また,前年度作成した最大滑動量推奨式を建物上部質量と建物下部質量の異なる試験体で検証した結果,建物上部質量と建物下部質量の異なる試験体でも,推奨式が有効であることを確認した.すなわち,境の提唱する震度を用いて告示波相当の地震動を選定し,告示波レベルの地震動による最大滑動量を300mmと推定した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
科研内定以前に実験を進めていたこと,新規試験体の作成に失敗がなかったこと,実験日を集中できたことが考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
研究の発展方向として,1)3次元入力地震動に対する最大滑動量の推定,2)直接基礎の滑動による入力地震動の低減効果,の2件が考えられる.前者は三次元震動台が必要であり,現有設備による実験は不可能であり,実験装置保有大学との連携が必要である.後者は,現有設備で実験可能であるが,新たな試験体の作成が必要である.
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費については,日本建築学会大会とWCTEの開催時期が重なったため,日本建築学会大会を欠席したため,大きな差額が生じた.また,謝金については,学生が多忙でバイトを雇用するに至らなかったためである.
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次年度使用額の使用計画 |
本年は,日本建築学会大会に長期間参加するため,当初予定額では不足する可能性がある.そのため,旅費を中心に使用する計画である
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