近年、Information Technology(IT)が物づくりを飛躍的に合理化することが社会的に認識され、様々な分野で生産の一層の合理化を図るための計算機利用、情報処理の開発普及が進められており、建築の分野で、このような情報処理の一翼を担う候補として、Building Information Model (BIM)が注目を集めている。 この背景の下、本研究は、BIM システムにおける建築設計、建築生産の分業における情報伝達の要件整理をテーマとして検討を行った。ここでは、BIM情報管理に必要な、情報共有すべき情報と、守秘されるべき情報のたたき台、責任分担の明確化の要件、分担責任集合を補完して総合責任化する要件、意思決定システムにおける下位から上位へのフィードバックの範囲と責任分担の要件を取りまとめた。これら整理したBIMの要件を実際の建築設備設計過程に適用し、その過不足の検討により「建築設備の健全な技術開発競争を促すBIMの制約条件」は、ガイドライン化を目指すものであり、このための開発フェーズを「Step1:現状フェーズ」「Step2:保証フェーズ」「Step3:実務フェーズ」として定義した。 また、本研究を通して明らかにしたBIMの現状と技術開発の方向性を踏まえ、BIMガイドライン策定に向けて、必然と考えられる業務フローの改善点を、以下のように提言した。 ①BIMマネージャーによるデータベース内容の事前検証 ②関係者間による採用プラットフォームの合意形成 ③データベースの互換性と冗長性: 強固なサブシステムと外部参照機能の付与 ④データベースの互換性と冗長性: データベースの階層化 ⑤データベースの管理権限の平等化
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