研究課題/領域番号 |
15K14089
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
後藤 春彦 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70170462)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | シティ・リージョン / ガバナンス・システム / 都市農村計画 / 医学を基礎としたまちづくり |
研究実績の概要 |
奈良県橿原市を中心に高取町、明日香村を含む「飛鳥シティ・リージョン」を対象として、都市と農村を一体的に計画するTown and Country Planningの枠組みを提示するとともに、当地における実際の計画行為に、理論的枠組みを適用することで、基礎自治体の範域をこえた一体的な計画単位とするCity Regionの有益性を実証することを目標として研究を進めた。 平成27年度は研究の端緒として、国内外におけるSpatial Planningの動向、土地利用制度の基本的枠組み、一元的土地利用計画導入の背景、土地利用規制、開発許可の基本的な考え方などを整理し、都市と農村を一体的に計画するための、広域圏の意思決定手法(ガバナンス・システム)に関する枠組みの提示を行った。また、「飛鳥シティ・リージョン」に関わる関連主体(橿原市・奈良県・奈良県立医大・地元NPOほか)に対するインタビュー調査を実施し、将来的な広域まちづくりの方向性と課題を把握するとともに、次年度に向けた研究・実践体制の構築を行った。 加えて、「飛鳥シティ・リーョン」に関連する企業、医療機関、自治体、大学などが協働して、奈良県立医科大学の医療・健康機能を核としたまちづくり・地域づくり(「医学を基礎としたまちづくり:MBT」)を推進する為に、奈良県立医大と連携して、産学官医連携組織「MBTコンソーシアム」を設立し、広域圏の意思決定手法(ガバナンス・システム)に関する実践的検証を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進行管理を徹底した結果順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、産学官医連携組織「MBTコンソーシアム」などの活動を通して、広域圏の意思決定手法(ガバナンス・システム)に関する実践的検証を推進し、「地域公共交通の充実とまちづくりの連携」「まちなみ保存地区でのまちなか医療の展開」「医療と観光のイノベーションによる研究開発拠点の創出」の三側面から、奈良県立医大を中心とした計画圏域であることを活かした「医学を基礎とするまちづくり・地域づくり」の広域的スキームを策定する。 こうして得られた実証成果を、広域圏の意思決定手法(ガバナンス・システム)に関する既存の理論に照らし、理論と実践の乖離を抽出することを通して、City Regionが有効に作用するために必要となる、①範域の設定方法(計画単位)、②担うべき公共サービスの選択(計画主題)、③意思決定方法のあり方(計画運用)について、理論構築を行う。 最後に、これまでに得られた研究成果をとりまとめ、研究報告書を作成するとともに、政策化へのはたらきかけをすすめて、法制化や新たな計画単位の普及に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
出張旅費について、安価な宿泊所を利用することで、節約する事ができた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については、平成28年度に予定している追加現地調査をさらに充実することで、出張旅費として使用する予定である。
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