本研究は、豊臣家を含む近世武家政権による城郭・宮殿・寺院・都市などの造営を「大規模造営」と捉え、畿内を中心にその行為によって形成された空間の特性を解明し、大規模な建築・都市の形成が可能とされた近世社会・国家の特性を解明することを目的とした。 その結果、大規模造営という行為を通して、近世国家は〈王都〉としての空間の整備を必要としていたこと、さらに多様な空間・場の形成や多くの都市民衆を抱えることになる「近世」都市・社会の形成への対応を近世初期の段階から有していた可能性が高いこと、などを明らかにした。
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