研究課題/領域番号 |
15K14098
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
箕浦 永子 九州大学, 人間環境学研究院, 助教 (70567338)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 城下町 / 近代移行期 / 土地所有 / 土地利用 / 地租改正 / 福岡 / 博多 / GIS |
研究実績の概要 |
本研究は、地方城下町における明治初頭の地籍について定量的かつ定性的に分析することによって、近代移行期における土地所有と土地利用の特性について明らかにすることを目的としている。 これまでの2年間で、基本作業となる[史料収集][地籍データベースの作成][地籍復原図の作成]を進めてきた。以上の作業をもとにしたGISデータの構築および正確なデータとするための精査作業を平成29年度初頭に行い、これにより基本作業を完了とする。都市史研究でGISを援用する研究は未だ少ないため、以上の基本作業は挑戦的萌芽研究として重要な成果といえる。 平成29年度では、基本作業をもとに定量的分析を行い、また個別の町の定性的分析を行っていく。基本作業を進めるなかで土地所有と土地利用の特性について気づいた点として、複数の土地を所有する場合は小規模な土地を分散して所有することが多いが、福岡部・博多部を超えて所有することもあった。また、当初から関心を持っていた町共有の抱地は、博多部に多いものの福岡部においても特に町人地に見受けられた。抱地がどのような利用であったのかを明らかにすることは課題のひとつである。個別の町の分析にあたり、平成28年度中に福岡市総合図書館にて関連史料の収集を進めてきた。福岡部の町の関連史料が乏しいため、他館も含め引き続き探す必要がある。 土地所有と土地利用の特性に関する個別の発見もさることながら、やはり福岡城下町全体のなかでどのような状況であったのか、全体像と個々を考察したいため今後の分析は重要となる。結果を論文等で発表していくものとする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、博多部と福岡部における[地籍復元図の作成]に集中的に取り組んだ。地籍図は町ごとに作成されており、隣接した町を繋げていくことで福岡城下町の全体図を作成することができる。しかし、それぞれの地籍図の縮尺が異なり、歪みなどもあるため、この補正にかなりの時間を要した。さらに、GIS上で使用できるデータを構築するための作業にもかなりの時間がかかった。若干の作業が残っているため、平成29年度初頭には完成させる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は最終年度にあたる。これまでの作業は膨大であったが、この2年間で基礎データをほぼ作成することができたため、いよいよ定量的分析を行う。また、いくつかの町を事例に詳細な分析を行いたいと考えている。そのうえで、成果を研究論文にまとめて発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度内にGISデータの構築を完了することができなかったため、次年度に作業を行うために人件費・謝金用として繰越すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
GISデータの構築を完了させるにあたり大学院生の協力を得るための人件費・謝金とする。
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