研究課題/領域番号 |
15K14100
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
鳥越 けい子 青山学院大学, 総合文化政策学部, 教授 (60237162)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | サウンドスケープ / 音の景観史 / 武蔵野三大湧水池 / 善福寺池 / 屋敷林 / 等音圧地図 / 24時間調査 |
研究実績の概要 |
昨年度の調査内容の継続に加え、平成28年度の新たな研究実績は、A.善福寺池に隣接した屋敷林内での「24時間調査」の開始、B.善福寺池とその周辺地域における環境騒音レベルの計測、C.同フィールドのサウンドスケープに関連する環境文化について「約50年前に照準を合わせた集団聞き取り調査」の実施、以上、大別して3つの領域に分類することができる。 具体的には、Aについては、記録計測の方法論に関する検討を行った後、実際の記録計測活動を数回実施し、その結果についてグラフを作成・分析した。Bとしては、季節によって異なる「等音圧地図」を作成した。Cについてはその内容から重要な項目(要素)を抽出した。これら3つの領域における活動はいずれも、本研究の分担者や協力者たちと共に年度中、複数回にわたって実施した。その開催方法には、研究計画書に記したメンバーのみで行ったものから、地元住民や関連団体等を巻き込んだ公開調査等に至るまで、さまざまな形態のものがあった。 そうしたなかで、これまで交流のあった諸団体に加え、杉並建築士会といった本研究のテーマ「サウンドスケープから解読する都市景観史」に関連する各種研究等の団体との研究等の交流活動が生まれたことも、平成28年度の活動の大きな成果である。 そうした調査研究活動を踏まえ、現時点で明らかになった主な事項には「自然の湧水音はもはや確認できない/現在聞こえる水音は人工的につくられたものである」「音環境は池とその周辺地域の水と緑の循環を認識・評価するメディアとして有効である」「周辺地域の屋敷林は池を含めた当該のフィールドにおける音環境に重要な役割を果たしている」といったことがある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
上記「研究実績の概要」に記した3つの領域別には、各種の有意義な成果が上がっておりが、研究代表者にとって初めて使用する計測機器等が多く、調査システムの構築に予想を超えた時間等がかかったことから、その全体のとりまとめ作業が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の期間を平成29年度にまで延長することによって、現在の音風景をめぐる環境・文化的背景については、これまでの調査内容を「積層する3つの層」を軸に資料化を進める。また、音風景の歴史については、これまで確認した各種の事項を書き入れた「音年表」を完成する。最終的には、以上全体をコンテンツとした「DVD付きの報告書」を作成し、年度内に開催するシンポジウムで発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
上記「研究実績の概要」に記した3つの領域別には、各種の有意義な成果が上がっておりが、研究代表者にとって初めて使用する計測機器等が多く、調査システムの構築に予想を超えた時間等がかかったことから、その全体のとりまとめ作業が遅れているため、まだ実施していない一部の調査、ならびに成果のまとめと発表に使うための予算が未使用である。
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次年度使用額の使用計画 |
8月までに必要な調査活動を実施し、その後に音年表の作成、各種のマップづくり、記録してきた音響・映像資料の編集等を行い、秋に成果発表のためのシンポジウムを行う計画である。
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