研究課題/領域番号 |
15K14110
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
西田 稔 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (90183540)
|
研究分担者 |
光原 昌寿 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (10514218)
板倉 賢 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (20203078)
Farjami Sahar 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (20588173)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 走査電子顕微鏡 / 磁気構造 / 磁気記録合金 / 強磁性形状記憶合金 / その場観察 / 環状検出器 / 表面起伏 / モアレ |
研究実績の概要 |
走査電子顕微鏡(SEM)を用いた磁気イメージング法を確立するために,申請者らがこれまで研究対象として取り扱ってきたL10型強磁性合金(CoPt, FePt, FePd)を用いて,基礎研究の位置づけにある1) 二次電子と反射電子による磁気構造の可視化と結像機構の解明と,応用・展開研究の位置づけにある2) SEM用磁場印加装置の試作・改良を継続するとともに,磁場印加装置や加熱・冷却装置を用いた磁気構造の動的観察を行った. 1)については前年度の研究においてL10型強磁性合金の迷路状垂直磁区構造の結像に寄与している電子は二次電子であることが知られたので,試料直上に特定方向に働く漏洩磁界を設定し二次電子軌道のシミュレーションを行った.漏洩磁界の有無により磁界を設定した方向と垂直方向に二次電子の分布がシフトし,光軸に対する中心対称性が失われることが判明した.この結果は面内成分の漏洩磁界が存在する領域(磁壁上)と存在しない領域の間で2次電子の検出数が異なることを示しており,このことが磁壁に対応する磁気コントラストの成因であると考えられた. 2)では試作した磁場印加装置を用いた動的観察においては,磁場印加によりFePd合金において磁壁移動の観察に成功した.また,加熱に伴う磁壁の消滅を可視化した. さらにNi2MnGa強磁性形状記憶合金の観察においては,当初,磁気構造と考えられた湾曲した複雑なコントラストはSEMの特定の観察条件下で現れるマルテンサイトの表面起伏に由来したモアレパターンであることが判明した.同様の現象は磁性を持たないTi-Ni,CuAlNi合金のマルテンサイト相においても観察された.この結果は本研究の目的から逸れるものではあるが,結晶性材料において変位型相変態に伴い周期的な表面起伏が出現した金属組織のSEM観察を行う上では重要な知見である.
|
備考 |
本研究の成果が2017年2月9日発行の日刊工業新聞に掲載された.
|