電子が磁性体から受けるローレレンツ力を利用して走査電子顕微鏡(SEM)により簡便に磁区構造を観察できることは良く知られていたが,原理的に磁区構造の一部のみしか可視化できないなどの理由から,磁気イメージングの主流には成り得なかった.本研究では,環状電子検出器を有するSEMを用いて、ローレンツ力で偏向された電子を効率よく収集することで,試料表面に現れる磁区構造の全貌を,ごく簡単な操作・観察で明らかにできることを示した.さらに本手法は表面形状などの情報ともよく切り分けられることから,磁性体表面の磁区構造を様々な組織因子(形態,結晶方位,化学組成など)と関連付けて迅速に評価できるものである.
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