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2015 年度 実施状況報告書

新規磁石化合物NdFe12Nxを用いたナノコンポジット磁石の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K14112
研究機関国立研究開発法人物質・材料研究機構

研究代表者

平山 悠介  国立研究開発法人物質・材料研究機構, 磁性材料グループ, NIMSポスドク研究員 (60617059)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードNdFe12N / ThMn12 structure / hard magnet
研究実績の概要

本申請では、高いエネルギー積(BH)MAXを有する異方性NdFe12Nx/Fe65Co35ナノコンポジット磁石の作製を目的とする。NdFe12Nxは現在最強の磁石材料であるNd2Fe14Bに比べ、高い磁気特性(飽和磁化MS、異方性磁界Ha、キュリー温度TC)を有する非常に有望な新材料である。NdFe12Nxという新規磁石材料を用いると、さらに高特性の磁石を実現できる可能性を実験的に示す。
これまで、基板に単結晶MgO(100)を用い、下地層のWはエピタキシャル成長させているために、その上に堆積させたNdFe12Nxは結晶粒界がなく、保磁力はほとんどない[1]。そこで本研究では、グラスの上にアモルファスのNiTaを堆積させ、その上に(100)に高配向の多結晶MgOを用いることで、その上に形成されたNdFe12膜は配向した多結晶を形成し、さらに、その一つ一つの粒子の大きさが、単軸粒子径よりも小さくなるように制御し、NdFe12Nx粒子を磁気的に孤立させることで、保磁力を向上が見込まれる。
初本年度は、1. glass//NiTa/MgO/W/NdFe12、2. glass//NiTa/Cr/MgO/W/NdFe12さらにa-Feを抑制するために、MgO(100)//W/ NdFe11Ti or NdFe11TiNの作製も行った。

[1]Y. Hirayama et al., Scripta Materialia 95, 70-72 (2015).

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

高配向の多結晶NdFe12Nx、NdFe11TiNx膜の合成を試みた。この一つ一つの粒子の大きさが、単軸粒子径よりも小さくなるように制御し、NdFe12Nx粒子を磁気的に孤立させることで、保磁力の向上が見込まれる。
初年度は窒化前の1. glass//NiTa/MgO/W/NdFe12、2. glass//NiTa/Cr/MgO/W/NdFe12を作製し、そのNdFe12の結晶配向性を調べた。1.と2.の違いは、NiTaとMgOの間にCrを挿入するかどうかである。この二つの試料についてXRD測定を行った結果、Crを挿入した試料のみ、単結晶基板を使用したときと同様のThMn12構造由来の(002)、(004)面からのピークが得られ、高配向のNdFe12が得られたことが分かる。これはCrを挿入することにより、多結晶MgOの結晶サイズが大きくなり、NdFe12結晶が成長しやすくなったと考えられる。この下地相の条件最適化に時間が費やされたために、計画から少し遅れている。また、単結晶の時と同様にa-Feの析出は観測された。
そこで、バルクと同様にThMn12構造を安定化させるTiを少量添加することでa-Feの析出を抑制することを試みた。まずは単結晶上MgOを用いNdFe12、NdFe12Nxを作製した。いずれの試料からも、ThMn12構造由来の(002)、(004)からの回折ピークが確認でき、c軸がMgO(001)面に垂直であるエピタキシャルNdFe11Ti(Nx)の作製に成功した。また、Tiを置換させることで、a-Feの析出を抑制することができ、窒化後でもFeの析出は見られなかった。ただ、磁化測定ではゼロ磁場近傍における困難方向の磁化曲線の立ち上がりが観測された。今後、詳細なTEM観察により、この原因について解明していく。また多結晶MgOを用いたNdFe11TiNx膜の作製も試みる。

今後の研究の推進方策

初年度において、高配向多結晶下地相を作製することができ、NdFe12相の高配向膜を作製することができた。今後は、得られた高配向膜を窒化することで多結晶のNdFe12Nxを作製し、その微細構造、磁気特性を評価する。計画にもあるように、まずは単膜において保磁力を最大まで引き上げる。
方法としては、NdFe12Nx膜を作製後、結晶粒界にNdCuなどの低融点非磁性物質を拡散させ、磁気的に孤立させる、もしくはSm2Fe17N3のようにZnを粒子表面で反応させることにより、表面のニュークリエーションサイトを減らすことが考えられる。また、さらに高温で堆積させることで、アイランド形状にNdFe12が成長することで、粒子の孤立を図る。これらのことを、単結晶、多結晶下地を用いて試料作製を行うことで、保磁力機構の解明にもつながる。
また、作製したNdFe11TiNx膜について、詳細なTEM観察を行うことにより、Tiの役割についての理解を深め、ThMn12構造の安定化についての知見を蓄積する。

次年度使用額が生じた理由

実験計画に遅れが出ているために、計画していた学会発表などの旅費を使用することがなく、計画との乖離が出ている。

次年度使用額の使用計画

試料作成条件の最適化に予定よりも多くの時間を費やしたために、MgO基板の消費量が計画に比べ多い。初年度に使用しなかった金額をMgO購入に充て、実験が止まらないようにする。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ThMn12構造を有するNdFe 12-yTiyNxのTiの効果2015

    • 著者名/発表者名
      平山悠介
    • 学会等名
      第39回 日本磁気学会学術講演会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2015-09-08 – 2015-09-11

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公開日: 2017-01-06  

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