研究実績の概要 |
本研究では、幅広い材料設計の自由度を持つ層状複合アニオン化合物であるLnOBiCh2(Ln: La-Sm, Ch:S,Se,Te)のBi-Chが形成する結合状態を制御し、さらにその界面を利用した新規材料の創出を目指し、LnOBiCh2ナノシートの合成と評価を行う予定である。初年度には結晶構造解析によるBiの結合状態の評価、LaOBiS2単結晶およびナノシート合成において、以下の知見を得た。 1)LaOBiS2およびBi2OS2粉末の放射光X線結晶構造解析、光吸収、第一原理計算よりBi-S面がおおよそ1 eVの直接バンドギャップを形成することを明らかにした。また、LaOBiCh2(Ch:S, Se)の結晶構造解析によりBi-Ch面の大きな熱振動や超伝導発現に必要なBi-Ch結合長を明らかにした。 2)CsCl-KClフラックスを用いることでミリメーターサイズのLn(O,F)BiS2単結晶合成法を確立し、さらにフッ素ドープした単結晶のBi-S面に水平方向および垂直方向の電子伝導特性を明らかにした。 3)LaOBiS2を溶媒中で超音波処理することにより、ナノシート化に成功した。今後、詳細な形態や特性を明らかにする予定である。 また、研究期間中に類似化合物であるBi4O4S3の結晶構造と伝導特性との相関性を明らかにし、さらに新規化合物であるLnOSbS2の単結晶合成にも成功した。 これらの成果は7報の査読付き学術論文として発表された。
|