研究課題/領域番号 |
15K14114
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
島田 敏宏 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10262148)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 遠赤外線 / メタマテリアル / 微細加工 / 耐火化合物 / MAX相 |
研究実績の概要 |
高温下で中・遠赤外線を制御するため、耐高温材料(耐火物)でメタマテリアルを作製する技術の開発に挑戦している。これまでの結果は以下のとおりである。1.高温物体から発する中・遠赤外線の発光分光を行う装置を、既存のFTIR装置を改造することにより開発することができた。2.耐火物の薄膜合成に取り組んだ。まず、スパッタによるWとMgOの薄膜作成を行い、最低限の二次元のメタマテリアル作成は行えるようになった。さらに、空気中で安定に使用するために耐熱性・耐酸化性の高い金属炭化物の形成をCVDにより試みた。TiCl4とCCl4と水素の反応によりTiC薄膜が得られた。上記にSiCl4を加えることによりMAX相Ti2SiC2の薄膜合成を試みたが、単一相は得られなかった。これらの薄膜の赤外発光スペクトルの測定を行った。3.プラズマエッチングにより耐火物の微細パターン作製に取り組んだが、プロセス時間が長くかかることがわかった。したがって、プラズマエッチングでは量産性が低いため、炭素パターンの炭化による金属炭化物のパターン作製やゾルゲル印刷法による方法を探る必要があることがわかった。4.メタマテリアル設計のための計算については、FTDTプログラムを導入して計算を始めた段階にある。初期段階の解析により、厚膜の積層構造を作ると、より精密な電磁場制御が行えることがわかった。今後は特色ある赤外特性を持つ構造や、当初の目標である遠隔温度モニターに使える構造を最適化していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.評価装置の開発、2.耐火物薄膜形成の試み、3.微細加工、4.電磁場計算の4つの項目について研究を進めた。 1.については、FTIR装置を改造して、高温物体からの赤外発光スペクトルの測定が行えるようになった。 2.については、タングステンとMgOのスパッタを行い、薄膜形成ができることを確認した。また、空気中でより耐熱温度の高い金属炭化物の形成をCVDにより試みた。TiCl4とCCl4と水素の反応によりTiC薄膜が得られた。さらに、SiCl4を加えることによりMAX相Ti2SiC2の薄膜合成を試みたが、単一相は得られなかった。これらの薄膜の赤外発光スペクトルの測定を行った。 3.については、共用設備のプラズマエッチング装置を用いてプロセスガスやエッチングパラメータを探索している段階である。プロセスに長時間かかるため、4.に述べる積層構造の微細加工についてはエッチングよりも印刷によるパターン化の方が適しているように思われる。 4.については、FTDTソフトウェアをインストールして計算しているが、複雑な構造は時間がかかりすぎるため、GPGPUを用いたソフトウェアについても検討している。解析を進めた結果、測定方向の角度依存性を消すためには数μmの厚さの積層構造が重要であることが分かったため、平成28年度は厚膜のパターンを印刷技術で作製する方法を開発する。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の1.評価装置の開発、2.耐火物薄膜形成の試み、3.微細加工、4.電磁場計算の4つの項目に加えて、5.印刷技術による耐火物薄膜パターンの作製にも取り組む。 具体的には下記の項目に重点を置く。 1.赤外線発光スペクトル評価装置については、現在は黒鉛を簡易真空内で通電加熱しているが、CO2の発生が赤外吸収として観測されたため、MoSi2など別の材料によるヒータを工夫して安定した加熱を行えるようにする。2.については、CVDによりMAX相他、金属炭化物の合成に取り組む。高分子レジストのパターンと金属原料(水素化物、塩化物等)の反応により炭化物パターンができると応用が広がるので、その反応を探索する。3.厚膜の短時間でのエッチングは難しいので、2.の高分子レジストパターンの炭化と5.の印刷法に取り組む。4. FTDT電磁場計算ソフトについて、さらに計算を進めて有意義な構造を設計したい。5. 印刷技術による耐火物薄膜パターンの作製に取り組む。ゾルゲル法を行うことになると考えるが、印刷技術にはあまり経験がないので、経験者と共同研究により取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
1000円未満の残額となったため、まとめてより有意義に使うために次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度分と合わせて、消耗品などとして有効に使う
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