研究実績の概要 |
1. 塩素系イオン液体を用いてジルコニア形態制御を試みた。イオノサーマル処理後ではロッド状の粒子が規則正しく配列し前駆体が得られ、焼成することでジルコニアを得ることができた。また、イオン液体に水を加えることで直接ジルコニアを得ることができ、イオン液体の側鎖が長い場合において立方晶、正方晶が得られることがわかった。 2. フッ素系イオン液体を用いイオノサーマル処理を行った。ヘキサメチレンテトラミンを用いてイオノサーマル処理を行うとNH4Zr2F9のプレートが得られ、イオノサーマル処理温度や処理時間を変化させることでプレートの形を制御できることがわかった。また、NH4Fを用いた場合では厚みのあるプレートNH4Zr2F9が得られることがわかった。 3. エチレングリコールをイオン液体に入れイオノサーマル処理を行うことで(NH4)3ZrF7が得られ、イオノサーマル処理時間24 hでは八面体、48 hではロッドと丸い粒子が得られた。さらに、イオン液体とエチレングリコールの比率を変化させることで初期では立方体であるが頂点が溶け出し、八面体に変化し、その後八面体の面から繊維状粒子が析出し成長していくことでロッドが形成されるモデルを提案することができた。 4. 前駆体(NH4ZrF9)を400, 500, 600, 700, 800oCと温度を変化させ焼成してジルコニアを作製した。UV-vis, XPS, FT-IRなどの解析を行った結果、UV-Visから長波長の光を吸収できること、XPSからは結晶内にフッ素がドープされていること、FT-IRからZr-OHの結合が存在することがわかった。イオノサーマル法によりジルコニアの形態制御は可能であることが分かり、形態制御だけでなく表面状態も制御できる可能性を見出すことができた。
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