塩化酸化ジルコニウム、フッ素系イオン液体、ヘキサメチレンテトラミンを用いてイオノサーマル処理を行うとNH4Zr2F9のプレートが得られ、イオノサーマル処理温度や処理時間を変化させることでプレートの形を制御できることがわかった。さらに適切な昇温速度で熱処理することで、ジルコニア単結晶ナノシートを合成することに成功した。これは使用するイオン液体の燃焼温度とジルコニア前駆体からジルコニアへの結晶化温度の関係が重要であり、適切な組み合わせによって種々の金属酸化物単結晶ナノシートを合成できる可能性を示すことができた。 ジルコニアナノシートについて電気的特性を調査したところ、非常に高い電気的抵抗値を有することが分かった。今後は、触媒特性(光触媒や排ガス浄化触媒)について調査する予定である。 セリア前駆体、フッ素系イオン液体、ヘキサメチレンテトラミンを用いてイオノサーマル処理および熱処理することでセリアナノシートも合成できることが分かった。一方、セリア‐ジルコニア固溶体のナノシートの合成に挑戦したが、化学組成およびシートの大きさ等を制御することが困難であった。イットリアドープジルコニアについても固溶体ナノシートの合成に挑戦し、シート形状の形態制御はできたが、シート毎の化学組成の均質性について制御することが難しかった。これらの成果を踏まえて、引き続き単結晶ナノシートの新合成手法の開拓を進めていく予定である。
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