本年度は、前年度までの研究において我々が新たに発見した光誘電効果を示すワイドバンドギャップアルミネート(LaAlO3系およびBaAl2O4系化合物)において、将来的な応用開発に向けた光誘電効果の最適化および光誘電効果のメカニズム解明に取り組んだ。 LaAlO3系化合物においては、前年度に引き続いて第一原理計算によって光誘電効果の起源となる欠陥順位の同定に取り組んだ。特に今年度は、光励起状態における安定欠陥構造を正確に求めるための独自の手法を新たに取り入れ、より精密な計算を実施した。その結果、La欠陥と酸素欠陥の複合欠陥が、LaAlO3系における光誘電効果の起源となることを明らかにした。 一方BaAl2O4系化合物においては、Ba(Al1-xZnx)2O4における光誘電効果のZn置換量依存性及び照射光強度依存性を調べた。その結果、本系における光誘電効果がZn置換量5%程度まで置換濃度に線形に依存することを明らかにした。また照射高強度依存性では、35mW/cm2程度で光誘電効果が急峻に立ち上がり、その後は飽和傾向を示すことを明らかにした。 本研究で得られたこれらの結果は、光誘電効果の基礎的学術の確立に大いに資するものであり、今後の応用開発の基盤となるものである。
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