研究課題
当該年度には以下の二つの試みを行った.(1)検出器側矩形入射絞りの設置:逆空間(電子回折面)で±のカイラル信号の一方を選択的に取得する方法として,前年度ベンチレータ型の絞りを検出器に設置することを提案したが.絞りの回転機構を導入することが困難であった.そこでカイラル±の磁気信号を別々に取得するのではなく,回折図形の対称性に合わせて矩形絞りを導入し,二次元位置敏感検出器であるCCD画像データとして±信号を一度に取得する手法を考案した.この場合,分光器(検出器)に対して正しい方位で逆空間の適切な領域を選択することが技術的な障壁となることが分かった.(2)ナノメートル分解能での磁気モーメント定量マッピングの試み通常のEMCD測定を三波対称励起条件下におけるナノプローブ走査によって実施し,強磁性体の磁気モーメントの空間変化をマッピングする子試みを更に進め、結晶粒界での磁気モーメントの変化を原子面分解能で測定した.試料にはBCC鉄多結晶膜を用いた.ノイズが多く含まれるデータに統計処理を施し,そこに内在するスペクトル成分を抽出して軌道角運動量/スピン角運動量比を界面付近を含む領域で可視化した.これによって,磁気角動量比の値が界面付近で有意に変化していることが認められた.収束電子を三波対称励起条件でスペクトル取得する実験条件で、理論計算による検討を行い、実際にこの条件下で測定される磁気信号が原子面に局在していることが明らかになった.このことは元素種毎でかつ原子サイト毎に磁気角運動量測定が可能であることを示唆している.
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
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http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20160831_imass.pdf