研究課題/領域番号 |
15K14122
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松永 克志 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20334310)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ニューラルネットワーク / 原子間ポテンシャル / 第一原理計算 / シミュレーション / 格子欠陥 |
研究実績の概要 |
本研究は、セラミックスの構造と機能に関する原子シミュレーションを、従来より格段に高い計算精度で行うため、情報科学を活用した原子間ポテンシャルの開発を目指す。脳神経系の情報処理機構を模した数理モデル(ニューラルネットワーク)に基づき、第一原理計算と同精度の原子シミュレーションを実現する原子間ポテンシャルを開発する。酸化物セラミックスに適用し、ポテンシャルの妥当性・有効性を検討する。本年度は以下の検討を行い、成果を得た。 (1)原子間ポテンシャルのためのニューラルネットワークの検討:ニューラルネットワークの内部構造について検討した。ニューロンの連結構造として、階層型ニューラルネットワークを用いた。階層数および各階層のニューロン数について基礎的検討を行い、階層数は2、ニューロン数は数十の構造が、複雑な相互作用を持つ物質計算には必要であろうと結論付けた。これに基づき、基本プログラムの作成を行った。 (2)学習データおよびテストデータの準備:ニューラルネットワークに学習させる数多くの第一原理計算データを準備するため、第一原理計算を行った。本研究ではプログラムのテストを兼ねて、Si, Alなどの単純金属を中心に検討を進め、データ数としては2000以上のデータセットを作成した。それを用いてニューラルネットワークの学習を行い、1原子あたり10-2 eV程度のエネルギー精度は達成した。しかし最終目標の10-3 eVの精度は得られなかったため、学習の際に行うニューラルネットワークのパラメータの最適化手法に問題があるとみて、最適化手法の基礎的検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本プログラムの作成および学習・テストデータの準備の状況は当初計画していた通りである。
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今後の研究の推進方策 |
継続して、プログラムの改良とセラミックスへの適用に試みる。とくにプログラム面では、ニューラルネットワークのパラメータの最適化手法が問題であることが判明したため、この点を次年度早々に解決していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品が研究申請時より少し安価に購入ができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
計画通り、次年度の旅費に組み込んで使用する予定である。
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