本研究では,高いOH-イオン伝導性を有するピロリン酸塩について,結晶中におけるOH-イオンの存在状態と伝導挙動の微視的描像を第一原理解析より明らかにした.その結果,まず,結晶中に存在するOH-イオンは単に格子間にOHユニットとして存在するのではなく,結晶内に存在するP2O7ユニットが2つのPO4ユニットに解離し,その間にHが配置する特殊な構造をとることが明らかとなった.また,移動経路に沿ったエネルギープロファイル評価を行った結果,粒内伝導は非常に遅いことが明らかとなった.これは,過去に報告されている高い伝導性は,粒内伝導以外の別の要因(e.g.粒界伝導,表面伝導)が存在することを示唆している.
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