研究実績の概要 |
初年度は、プラズモン励起用の触媒粒子として層状複水酸化物(LDH)を想定し、共沈法を用いて合成することを目指した。合成指針として、光吸収波長の制御、粒子形状の制御、アニオン交換による表面電荷の制御、そして反応系における触媒の分散状態の改善を主なものとした。紫外~可視光で吸収が高い層LDHの候補としてZn-Cr系を候補に挙げた。また、Mg-Al系に対しても遷移金属元素をドープすることにより、吸収波長の制御を図ると共に光照射を行わない状態での触媒特性の調査を行った。 Zn-Cr系LDHに関して、CO3(2-),NO3-, Cl-など各種アニオンを共沈法による合成過程で層間に導入した。紫外可視吸収分光装置による測定の結果、アニオンにより吸収波長が変化することが分かった。また、相関に導入する際の溶媒を変化することで、LDH粒子の分散状態が大幅に改善し、さらに溶液の色が変化することが分かった。粒子サイズは50nm程度であり、セラミックスであるにも関わらず沈殿することもなく、まるで金属ナノ粒子のような挙動を示すことが分かった。分散状態の改善により、外部光の入射によるプラズモン励起にはプラズに働くことが予測され、また触媒分散液の色が大きく変わるという予想外の結果は、これから行う予定である触媒特性測定においても、非常に興味深い結果が期待される。
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