研究課題/領域番号 |
15K14130
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
弓野 健太郎 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (40251467)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 構造・機能材料 / 表面・界面物性 / 半導体物性 / 結晶成長 / 太陽電池 |
研究実績の概要 |
申請者等は、一原子層以下のSiを蒸着したAg(111)表面を加熱すると、室温において液相のような流動的な表面層が形成されることを見出した。AgとSiは室温ではほとんど固溶しないが、この結果はナノ領域における共晶系合金の複雑な挙動を示している。AgとSiの薄膜を積層した構造を加熱すると、Siの結晶化が促進されることが知られており、本研究では、これらの流動層が形成されるメカニズムについて考察し、金属触媒を用いたSiやGeなどの半導体の低温結晶化技術を開発するための知見を得ることを目的とする。 Au(111)表面上に微量のGeを蒸着した表面を走査トンネル顕微鏡で観察したところ、Si/Ag(111)と同様に、室温で流動する表面層を観察することに成功した。この結果は、この現象が半導体と金属の共晶系合金に共通する性質であることを示唆しているが、Ge/Au(111)の場合には、アニール処理が不要で、Geを蒸着しただけでこのような流動層が確認出来る。これは、GeがAu内に容易に拡散し、合金を形成することを示唆している。このような流動層の存在は、原子が低温でも高速に拡散することを示しており、結晶化の反応を促進させる可能性があり、今後、流動層の挙動、形成機構について調べる。また、AuとGeを加熱基板上に同時に供給すると、Geの結晶化が効率的に進むことを見出しており、流動層の形成との関連について詳細な検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Au(111)面上に微量のGeを蒸着し、走査トンネル顕微鏡で観察したところ、Si/Ag(111)と同様の流動層を観察することに成功した。しかも、Ge/Au(111)の場合は、アニール処理が不要で、容易に表面に合金層が形成されることが示唆される。また、AuとGeを同時に加熱基板上に供給すると、Geの結晶化が促進されることも見出した。
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今後の研究の推進方策 |
さらに、Ge/Au(111)表面の挙動を走査トンネル顕微鏡を用いて調べることで、流動層の構造、形成機構を明らかにする。また、AuとGeを同時に加熱基板上に供給する新規結晶化手法についても研究を進め、結晶化機構の解明、結晶化を効率的に進めるためのプロセスの改善に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の想定に比べて旅費の支出が少なかったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は実験のための消耗品を中心に支出を行う計画である。
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