研究課題/領域番号 |
15K14136
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
伏見 公志 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20271645)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 材料加工・処理 / 腐食防食 |
研究実績の概要 |
本研究は、金属材料表面に紫外光を照射することにより誘起される光電気化学反応を用いて、金属材料不働態を強化する新しい表面処理法を開発することを目的としている。局所的な光電気化学反応をにともない流れる光電気化学電流を紫外光照射条件にフィードバックすることにより、不働態表面の均一化あるいは不働態脆弱部の耐食性を改善する。多結晶体金属材料表面を覆う不働態皮膜の不均一性を把握するとともに、その不均一性に応じた不働態(耐食性)強化を図ることで、金属材料の新しい長寿命化・経年劣化防止法を構築する。 初年度、紫外レーザー光を2軸スキャナーを用いて走査する光学走査系と電気化学測定系を組み合わせて、UV-SPECMを作製した。硫酸水溶液中、ポテンショスタットを用いて、多結晶チタン試料をアノード分極しながら、さらに紫外光照射した際に流れた光電気化学電流(明電流ー暗電流)の時間積分(光電気化学電気量)により光電気化学反応量を制御しながら、照射位置を変えて、不働態皮膜に不均一性を導入することに成功した。また、紫外光の照射強度の影響を調査した。その場偏光反射顕微鏡、2次元エリプソメーター、顕微ラマン分光法、光電子分光法などによりこの導入部位の皮膜変質を解析したところ、Tiの酸化還元なしに、ごく僅かな水和水増加と皮膜厚増加が誘導されたものと解釈された。皮膜変化は紫外光照射強度および光電気化学電気量とともに増加するものの、過度に照射しても変化は飽和する傾向が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
面分解能は粗いものの、一応のUV-SPECM構築には至っている。
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今後の研究の推進方策 |
現状の局所紫外光照射部位の直径は約300umであったことから、直径10umの紫外レーザー光源に変更して、均一化処理の実現に向けて、装置および制御プログラムの更新を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学内の既存備品を活用したために、経費支出を抑えることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
繰越額を次年度必要な消耗品の購入に充当する。
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