研究課題/領域番号 |
15K14142
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
上田 恭介 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40507901)
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研究分担者 |
成島 尚之 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20198394)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生体材料 / 材料加工・処理 / リン酸カルシウムコーティング / 薬剤徐放 / 骨形成タンパク質 |
研究実績の概要 |
チタン系硬組織代替デバイスの骨との迅速かつ強固な結合を目的として、非晶質リン酸カルシウム薄膜を担体とした薬剤徐放型インプラントの創製を目指す。埋入初期においては、薄膜からのCa, Pおよび骨形成タンパク質の徐放により新生骨形成を促進させ、最終的には薄膜は生体内に吸収され、チタンインプラントと自家骨の直接の結合を達成させる。そのための要素技術として、(1)非晶質リン酸カルシウム薄膜とタンパク質の複合化方法を確立する。(2)薄膜およびタンパク質の溶解性評価、(3)細胞培養試験による骨形成能評価を通して、生体吸収性リン酸カルシウムコーティングの新規活用方法を、学術的根拠を基に導入する。 1. 骨形成タンパク質としてBMP-2に着目し、その取扱い方法およびELISA法による定量分析方法を習得した。ELISA法による分析に関しては、純水や酢酸中においても定量分析可能であることが分かった。RFマグネトロンスパッタリング法により非晶質リン酸カルシウム薄膜を作製し、その上にBMP-2含有溶液を滴下することで、BMP-2を担持させた。 2. 非晶質リン酸カルシウムの溶解性制御を目的とした元素添加添加非晶質リン酸カルシウム薄膜を作製した。元素添加においても非晶質相を維持しており、均一かつ平滑な、基板とよく密着した薄膜を作製することができた。擬似体液中における溶解性を評価した。Nb, Ta, Zr添加により薄膜の溶解性は抑制されることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 元素添加により非晶質リン酸カルシウム薄膜の溶解性を制御できることを明らかにした。 2. 骨形成タンパク質のELISAを用いた分析においては、当初は手技や条件が不適当であったため定量評価することができなかった。しかし、条件の最適化等により定量方法を確立することができた。 以上の進捗状況から、おおむね順調に進捗している、と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1. 骨形成タンパク質と非晶質リン酸カルシウム薄膜の担持方法と担持量の関係を明らかにする。 2.骨形成タンパク質の擬似体液中への放出量を調査し、担持方法・量と放出量を最適化する。 3. 細胞培養試験により骨形成タンパク質担持の有効性を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
タンパク質の取扱いおよびELISA法による分析方法の習得に時間を要してしまい、本年度はタンパク質の担持、分析方法の確立までの進捗であった。そのため、次年度使用額が生じてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
タンパク質およびELISAキットの購入に充填し、条件を最適化する。
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