マイクロ流体技術を用いることにより、大きさ10μm 程度の単分散球状コロイドフォトニック結晶を作製し、球状コロイド結晶のブラッグ反射を利用した新しい反射型紫外線カット粒子の開発を試みた。紫外線領域に光学ストップバンドをあわせるため、粒径160 nmの単分散ポリスチレン微粒子を用い、この水分散液を水相として用いた。また油相としてシリコーンオイル(50 cSt)を用いて、マイクロ流体デバイス内にシリンジポンプを用いてそれぞれの流量を制御して流動させることにより単分散な液滴を形成させた。デバイス内での50℃の加熱により液滴内の水分をデバイス内で蒸発でき、目標とした直径10μmの球状コロイド結晶を作製できた。また流量調整により液滴径を小さくすることでさらに小さな直径5μmの球状コロイド結晶を作製できた。特にストレートな流路を用いることにより界面活性剤を添加することなく、球状コロイド結晶を連続的に作製できるようになった。得られた直径10μmおよび5μmの球状コロイド結晶の垂直反射スペクトル測定を、ファイバー型分光器を用いて行ったところ、狙い通りに約400 nmにブラッグ反射によるピークが確認できた。ハロゲンランプからの光をバンドパスフィルタを通して試料に照射することで、360-370 nmの紫外光での透過画像を撮影する観察系を構築した。これにより紫外光での試料の透過光画像や透過率分布を図示できるようになった。直径5μmの球状コロイド結晶では約50%の紫外光を防御することでき、球状コロイド結晶のブラッグ反射を利用した新しい反射型紫外線カット粒子が作製できた。
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