研究課題/領域番号 |
15K14150
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
野田 尚昭 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (40172796)
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研究分担者 |
宮崎 達二郎 琉球大学, 工学部, 准教授 (10363657)
高瀬 康 九州工業大学, 戸畑・若松キャンパス技術部, 技術専門職員 (30508445)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 表面・界面・粒界物性 / 界面破壊 / 強度・靭性・破壊・疲労 / 接合・溶接 / 補修・延命処理 / 計算力学 / 構造力学 |
研究実績の概要 |
接着剤強さの代表的試験「引張せん断強さ」に関して,JIS規格に準拠した単純重ね合せ継手(SLJ)と接合面を2面有する2重重ね合せ継手(DLJ)とでは,後者がおよそ150%強く評価され,接着剤固有の強さが明確でないという,深刻な問題がある.その原因は,接着強さを平均的破断強さを用いて評価する方法にあることを明らかにしてきた.接着条件が等しい,同一接着面積・形状で同一厚さの接着層でも,接着面が剥がされる変形(接着面外曲がり)が大きいと,弱く評価される.そこで,申告者等は,新たに「特異応力場の強さKσ」を用いることによって,この問題の解消を試みてきたきた.まず,同一接着条件下の「突合せ継手」で接着厚さを変えても,1つのKσで表されることを示した.SLJにおいてもKσの有用性を確かめてきたが,被着材の厚さなどにより,Kσが異なってくる. 本研究では,Kσを用いて「引張せん断強さ」を合理的に評価できることを,追加考察した.具体的には,JIS規格による接着部の被着材厚さよりも厚く曲がり難く工夫された試験片を用いたPark等の実験に対して,特異応力場の強さに基づく解析を進めた.その結果,接着厚を0.15~0.9mm,接着長を20~50mmと大きく変化させた場合に,67%変動する平均引張せん断強さを,±10%以下の変動幅で評価できることを明らかにした.また,被着材厚t1を変化させて,Kσが最小値に収束し,安定化するため必要なt1を求めることができた.なお,本研究が目標とするDLJと同一強さを得るためのSLJの厚み,8mmを求めることができた.併行して,Kσと接着層端部における被着材の曲がり角θとの関係を解析して,Kσへのθの関連性を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展しているので,ひきつづき計画に沿って研究を進めていきたい.したがって,特記事項は格別ありません.
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今後の研究の推進方策 |
今後の予定は,当初立てた計画に従って,確実に進めてていきたい.そして,初年度得られた成果をまとめて発表し,関係者の意見も取り入れながら,接着強度の合理的な評価方法の確立を目指していきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
試験片の形状と加工方法を工夫することにより,実際の試験片製作費を安くできた.
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の使用計画については,初年度の研究成果を国内外の学会で複数回発表を予定しているので,この差額を以下のように平成28年度の旅費に充てることとする. 平成28年度予算(案)[当初の計画額] ①物品費:200,000[200,000],②旅費:179,665[0],③人件費:0[0],④その他:0[0]
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