研究課題
金属用3Dプリンタである電子ビーム(EB)積層造形で発現する結晶配向性に注目し、同造形法を形状だけでなく結晶方位も制御する手法として発展させる基礎研究を行った。昨年度までのNi超合金の多結晶および単結晶基板上でのEB走査実験によって得られた、種々のEB出力と速度の種々の組み合わせで形成される溶融ビードのサイズや内部組織に関する知見を参考に、種々のEB条件での造形実験を行った。重要な知見として、独立した溶融ビードの断面観察の結果に基づいてEB走査の間隔を調整することで、広範囲にEB出力・走査速度の組み合わせを変化させた場合でも健全な造形が可能なことを見出した。即ち、EB出力が小さく走査速度が大きい場合に、単独のビードによる溶融が小さくても、それに適応させて走査線間隔を小さくすることで単位面積当りの投入エネルギーを保てば溶融不足による欠陥や溶融過剰による形状不良の少ない造形物が得られることを示した。これにより、EB出力と走査速度の大きく異なる条件でも同様の緻密度の造形物を得ることができ、それらの特性と組織との関係を評価することが可能となった。具体的には、走査速度を大きくしEB出力を小さくした場合には、等方的な多結晶が得られ、走査速度を小さくEB出力を大きくした場合には、配向性の強い単結晶状の結晶粒組織が得られることを明らかにした。他のNi基超合金においても、同様の造化物の組織のEB出力・走査速度同様の依存性を確認した。さらに、微小な造形物の組織を解析し、熱流束の方向を反映した柱状晶組織が得られることを見出した。<100>配向した単結晶状の組織が得られることを利用すべく生体用Co-Cr-Mo合金の多孔体をEB積層造形することで、<100>配向による低ヤング率化と多孔体化の組み合わせにより、骨と同等の弾性特性を発現させることに成功した。
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