研究課題/領域番号 |
15K14168
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
李 海文 九州大学, 水素エネルギー国際研究センター, 准教授 (40400410)
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研究分担者 |
池田 一貴 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特別准教授 (80451615)
小倉 鉄平 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (90552000)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 水素化物 / 二酸化炭素 |
研究実績の概要 |
今年度では、マグネシウムボロハイドライド(Mg(BH4)2)と二酸化炭素との化学反応を理論と実験の両面から詳細に評価解析した。 1.Mg(BH4)2における二酸化炭素の吸着サイトや安定性を密度汎関数法より計算した。ナノポーラス構造を有するγ- Mg(BH4)2において、二酸化炭素の再安定吸着サイトはナノ細孔の中心となり、その吸着エネルギーは1.336eVとなった。この値はα- Mg(BH4)2の表面吸着エネルギーよりも高いことが分かった。また、電子状態密度(DOS)および部分状態密度(PDOS)解析により算出された吸着前後におけるエネルギー変化において、CO2の非結合性p軌道が左側へシフトし、フェルミレベル以下の軌道が増加したことが分かった。 2.ナノポーラス構造を有するγ- Mg(BH4)2では、室温でも1気圧の二酸化炭素と反応することがin-situレーザーラマン分光分析より明らかにした。すなわち、室温でも化学反応によって生成したC-H結合が確認された。さらに、二酸化炭素の圧力増加および反応時間の延長に伴い反応が促進され、特に圧力が5気圧以上まで増加すると、2300cm-1付近でB-H結合に帰属できるピークの強度が急激に減少した。他方、α-Mg(BH4)2において、120℃以上にならないと化学反応が進行しないことを判明した。 これらのことから、Mg(BH4)2)と二酸化炭素との化学反応において、ナノ細孔による二酸化炭素の吸着が大きく寄与したと考えられる。
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