研究課題/領域番号 |
15K14169
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
佐藤 宏司 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 製造技術研究部門, 主任研究員 (70344166)
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研究分担者 |
馬場 創 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域研究戦略部, 主任研究員 (20371065) [辞退]
浅沼 博 千葉大学, 大学院工学研究科, 教授 (40167888)
柳迫 徹郎 工学院大学, 工学部, 助教 (80784628)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 熱電発電 / ゼーベック効果 / 直接接合 / ニッケル / アルミニウム / アコーディオン構造 |
研究実績の概要 |
熱電発電デバイスは,材料に異なる2つの温度を加えたときに生じる温度差により電圧を発生するゼーベック効果を利用したエネルギー変換デバイスである.一般にはゼーベック効果の高いビスマス系材料に添加物を入れ,発生する電圧の極性の異なるP型熱電素子とN型熱電素子を利用する.温度差方向に対して,垂直にN型素子とP型素子を交互に並べて,上下互い違いに電極に接合することにより(π型構造),電力を得ることができる.ゼーベック効果による発電能力は,現在広く利用されているビスマス‐テルル系化合物でも高々200μV/K程度であるため,π型構造を百個程度直列に結合し,電圧を実用可能なレベルにまで昇圧する必要がある.しかしπ型構造は複雑であり量産性は悪く,銀ペーストを用いて直列に素子を接合していくため内部抵抗が上がり効率が悪くなる問題があった.このような問題を解決するために,我々は低価格なニッケル板とアルミニウム板を直接接合した積層π型熱電デバイスを提案した(1).絶縁層をニッケル板とアルミニウム板の間に挟むことにより,π構造を保ちながらN型素子(Ni)とP型素子(Al)を直接接合することにより一度に多数のπ型構造を作製し,ゼーベック効果の低い材料を多数積層しても内部抵抗の上昇を抑えることにより,発電が可能であることを示した.その後,各種絶電材料を用いてデバイスを作製した結果,絶縁層としてアルミニウム表面に作製した陽極酸化膜を利用すると,絶縁層部分がニッケルと接合しないことが解った.本研究ではこの特徴を積極的に利用し,絶縁層部分を剥離させることにより,より冷却効果を高め温度差を作ることができるアコーディオン型(蛇腹構造)熱電発電デバイスを開発した.またこの構造は柔軟性も併せ持つため様々な熱源の形状にも対応することが可能である.
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