9CrODS鋼に対しAr3温度(780℃)以上のオーステナイト域で熱間圧延を施すと動的フェライト変態が起こる。この変態は冷却中にバリアント選択が規制された状態で起こるフェライト変態ではなく、熱間圧延中にマッシブ変態機構で進行することを初めて明らかにした。マッシブ変態はfcc/bcc界面での鉄原子の並び変えでfccからbcc構造に変化するもので、熱間圧延中の0.044秒という極めて短時間に変態が終了する。これに伴い結晶方位の揃った粗大フェライト粒が形成される。700℃での引張試験で期待した引張強度は得られなかった。これは粗大フェライト粒内の低角度粒界で選択的にすべり変形が起こるためと考えられる。
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