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2015 年度 実施状況報告書

大過剰過飽和固溶体を用いた金属材料の新規高耐化原理の導出

研究課題

研究課題/領域番号 15K14175
研究機関東北大学

研究代表者

武藤 泉  東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20400278)

研究分担者 菅原 優  東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40599057)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード材料加工・処理 / 腐食防食 / ステンレス鋼 / 浸炭
研究実績の概要

Fe-5%Cr、12%Cr、18%Crの三種類のFe-Cr鋼を試験片として、低温浸炭処理を行い耐食性を解析した。低温浸炭処理により、試験片の表面には黒鉛のような黒い粉末が析出・固着するため、ダイヤモンドペースト研磨を短時間行うことで、この固着した粉末を除去した。その後、0.1 M NaClあるいは0.1 M Na2SO4-1mM NaCl水溶液中でアノード分極曲線を計測した(いずれも非脱気、25℃)。溶液はイオン交換水と特級試薬から調合し、pH調整は行わずに出来合のまま計測に使用した。電極面積は約1cm×約1cmとし、電気化学計測後にノギスにより面積を正確に計測し電流値を電流密度に換算した。アノード分極曲線の計測は動電位法で行い、電位掃引速度は23 mV/minとした。
グロー放電発光分光法およびX線回折により、浸炭層の状態を解析した。その結果、Cr量が低下すると共に浸炭層が厚くなり炭素濃度も高くなることが分かった。アノード分極曲線の計測から、Fe-12CrおよびFe-18Cr鋼の耐食性は、低温浸炭により低下することが分かった。これは浸炭に伴い粒界にクロム炭化物が析出し、これに伴うクロム欠乏層形成によるものと考えられる。これに対して、Fe-5Crの耐食性は、低温浸炭により向上した。pHが約5.5の塩化物イオン含有水溶液中において、自然浸漬電位が貴になり、同一電位で比較すると浸炭材の方がアノード電流の値が低くなった。浸炭による耐食性向上効果は、ステンレス鋼よりも、炭素鋼において顕著に表れる可能性があるものと思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Fe-Cr鋼に対しプラズマ浸炭処理を実施できる条件が明確になり、耐食性に及ぼす合金元素の影響解析に着手することができたため。

今後の研究の推進方策

浸炭による耐食性向上機構の解明と、大過剰過飽和固溶体化による高耐食化現象の直接観察技術の開発。

次年度使用額が生じた理由

現在保有している直流プラズマ浸炭・窒化装置に、交流プラズマを複合化するための設備費を計上していたが、拙速に予算を実行する前に、必要な設備使用を明確にするため直流によるプラズマ処理条件の明確化を優先した。

次年度使用額の使用計画

交流プラズマを発生させるための電源類などの電気部品の購入。

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公開日: 2017-01-06  

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