ステンレス鋼にプラズマ低温浸炭を適用し、炭素による過飽和固溶体を作製し、耐食性を高めるための鋼組成ならびにガス組成を解明した。炭素を固溶させることにより鋼の耐孔食性が飛躍的に向上する。プラズマ浸炭における最適なガス組成はArを含まないH2とCH4の混合ガスであり、鋼組成はオーステナイト安定度の高い鋼種が好適である。浸炭層の外層部の10マイクロメートルほどは鋭敏化していて耐食性は低いが、その内部には10マイクロメートルほどの厚さではあるものの、常温の0.1 M NaCl水溶液中で孔食が発生しない高耐食化部分が存在し、その部分は炭素が過飽和に固溶した層であることを見出した。
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