大気圧下で溶液を原料としたプロセスであるミストCVD法によるリフラクトリーメタルの成膜を目的に、様々な前駆体および溶媒からの成膜について検討した。前駆体または溶媒に酸素が含まれる原料溶液を用いた場合、得られる薄膜は酸化物となった。ところが、塩化モリブデンまたは塩化タングステンのアセトニトリル溶液を原料として用いると、650度以上で炭化物の形成を実現した。溶媒および前駆体の熱分解生成物とその平衡反応から考察した安定領域はこれらの結果を支持しており、大気圧プロセスであるミストCVD法においても、溶媒および前駆体を適切に選定することで酸化物以外の成膜に応用できることを示した。
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