稲穂の生育が秋口に急に悪くなる「秋落ち」対策にはFeを供給する必要がある。一方、製鋼スラグには酸化鉄が含まれ、Fe を供給しやすい鉱物相がガラス相であるという知見を得ていた。本研究では、様々な組成のスラグを急冷し合成したガラス相の溶出試験により、Fe供給能力を高める要件を明らかにした。実験は、灌水初期を模した酸化性でpH=5を基本とし、pH、酸化還元電位、酸の種類を変えた。その結果、Fe供給能を高めるには、CaO-SiO2-FeOx系ガラス相の塩基度を0.67~0.84、酸化鉄濃度30%以上、鉄の価数を2+とする必要があることがわかった。また、pHや酸化還元電位は低い方が溶出しやすかった。
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