研究課題/領域番号 |
15K14197
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
小西 康裕 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90167403)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 燃料電池 / 電極触媒 / 貴金属触媒 / 白金 / バイオミネラリゼーション / 金属イオン還元細菌 / リサイクル / 循環・再利用 |
研究実績の概要 |
1.金属イオン還元細菌(Shewanella属細菌)によるバイオミネラリゼーションを利用して、原料溶液中のPt(IV)イオンの還元・析出実験を嫌気環境下で行い、バイオ調製Ptナノ粒子の生産速度を定量的に把握するとともに、粒子性状について評価した。その結果、マイルドな操作条件下(室温、pH 7.0)において細菌細胞懸濁液に電子供与体としてギ酸ナトリウムを混合するだけの簡便な方法で、60 min以内の短時間で、一次粒子径が3 - 5 nmのPtナノ粒子を80-90 %の収率で細菌細胞内生産できることを見出した。 2.Ptナノ粒子を担持した細菌細胞自体の導電性を高める方策として、細菌細胞の湿式炭化方法を開発した。すなわち、Ptナノ粒子担持細菌細胞を濃硫酸溶液中で高温処理することにより、細菌細胞が炭化されて導電性を高めることができた。なお、細菌細胞の炭化状態は熱重量-示差熱分析によって評価した。 3.細菌細胞を破壊してPtナノ粒子を液相に剥離させた後、Ptナノ粒子懸濁液のpH調整により、導電性担体(活性炭)にバイオ調製Ptナノ粒子を高分散に付着させる手法も開発した。 4.バイオ調製Ptナノ粒子触媒ならびに市販の活性炭担持Pt触媒を用いて、燃料電池の発電特性を両触媒で比較検討した。未処理のPtナノ粒子担持細胞では、細菌細胞の外膜と内膜の間(ペリプラズム空間)にPtナノ粒子が存在しているために出力がなかった。一方、炭化処理後のバイオ調製Ptナノ粒子担持触媒では、市販Pt触媒に対して65 %程度の出力が得られた。さらに、活性炭にバイオ調製Ptナノ粒子を担持した触媒では、市販Pt触媒と同程度の触媒性能を示すことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り順調に研究が進み、市販Pt触媒と同程度の触媒活性を示すバイオ調製Pt触媒を調製することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
1.金属イオン還元細菌(Shewanella属細菌)を用いて、PGM(Pt(IV)、Ru(III)、Pd(II)など)の2成分溶液を対象にしてバイオ還元・析出実験を嫌気条件下で行い、二元素系PGMナノ粒子がバイオ調製できる操作条件を検討する。また、バイオ調製した二元素系PGMナノ粒子を電極触媒として用いて発電特性を測定し、バイオ調製Pt触媒の場合に比べて、二元素系PGM触媒の有効性が現れるバイオ調製指針を確立する。 2.平成27年度に開発した微生物細胞の炭化処理方法および導電性担体(活性炭)へのバイオ調製PGMナノ粒子の担持方法について改善策を検討し、市販のPGM触媒に比べて触媒活性の高いバイオ調製PGM触媒の開発を目指す。
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