コムスキャンテクノ(株)にて、水平方向照射のX線装置ScanXmate-D150SS270を用いて、水・油の撹拌・分散状態の計測を試みた。まず静止した状況で水と油との領域を密度差に基づき、識別できることを確認した。次いで撹拌状況においては、空間分解能の制約から、個々の分散液滴を計測するには至らなかったが、通常、白濁した状況では、観測できない撹拌軸廻りの液面陥没の状況を計測することができた。さらに幾つかの径の中空金属粒子を装置内に投入し、その分散状態の鉛直断面画像の撮影に成功した。 次に、画像解析を用いて液液撹拌場における分散相の濃度分布を定量化し、翼回転数ごとの分散状態について検討した。撮影した画像から内壁面位置の歪みの程度を確認することで、O(Oil) / W(Water)またはW / Oを判定し、分散状態を整理することができた。油に着色を施すことで、緑成分の輝度値の変化から油相の体積分率に換算し、撹拌槽内の油相体積分率分布をコンター図として作成した。槽壁側の油相体積分率の平均値Φouterと、槽内の均一の度合いを示す指標であるσTを用いて、分散状態を分類した。翼回転数の増加に伴いΦouterは単調減少し、σTは極小値をもつことがわかった。 これとは別にPIV(Particle Image Velocimetry)手法を用いて撹拌翼の旋回領域における流動状態の計測を試み、各撹拌操作条件(翼回転数や翼形状)が流速分布に与える影響を検討した。その結果、旋回領域の流速分布は翼回転数を変化させても羽根先端速度vtipで整理できることを明らかにした。さらに昨年度、購入した汎用流動解析コードFLUENTを用いて乱流状態における撹拌場のCFDを行い、半径方向速度の計算結果をPIV実測値と照合したり、動力値の計算結果を実測値と照合したりすることで、その信頼性・妥当性を検証した。
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