本研究は,「医薬品有機化合物を超臨界二酸化炭素に接触・溶解させた後に減圧する手法」による結晶多形転移メカニズムの解明を目的とする。具体的には,超臨界二酸化炭素+テオフィリン混合系に対する種々の操作因子(超臨界二酸化炭素の温度と圧力,二酸化炭素の減圧速度および薬物の乾燥状態)の影響を検討した。温度,圧力および減圧速度を変化させた場合,全ての条件で結晶多形転移が生じた。次に,テオフィリンを十分に乾燥した後に超臨界二酸化炭素処理を行ったところ,結晶多形転移は起こらなかった。これより,超臨界二酸化炭素中のテオフィリンの結晶多形転移は,テオフィリンに含まれる水分が影響していることがわかった。
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